あらすじ
ケインの病気のため、ある町に引っ越してきたレッドファミリー。
ある日、家族揃ってピクニックに出掛けた州立公園で、部屋の内装にピッタリなドア(扉)を拾う。
だが、ドアを家に持ち帰り、内装を施して部屋に設置した頃から、周囲で不審な出来事が起こり始める。
登場人物
・ケイン(レッドとエヴェリンの子供)
・レッド(ケインの父、ケインの学校で働いている)
・エヴェリン(ケインの母、工芸家)
・ユライヤ(霊能者)
感想
職業が物語の進行に重要な役割を果たしている作品。
州立公園の人気のない場所に、ドアだけが落ちているのだが、それ自体変(実際はかつて存在した、全焼した家の焼け残り)で、雑な管理をしている州だなーと思った。
とはいえ、落ちていたドアを持って帰るか普通。
置いているだけの可能性もあるわけだし、そもそもドアって拾って持って帰るのは法律上問題ないのか(持ち主がいたら窃盗罪的な)?
それはともかく、工芸家エヴェリンの眼力爆発で、そのドアの魅力を色々語っていたが、私にはドラ〇もんに出てくる「劣化版どこでもドア」にしか見えなかった。
しかしながら、その劣化版に赤いペンキを塗るなどして、本来の「どこでもドア」にしたのは、工芸家なだけあった。
ケインの病気は「頭が違う働きをする」ということになっていたが、実際は何の病気か語られていない(多分)。
言葉通りに独創的なだけとは違うらしい。
ケインが公園でエヴェリンを待っている時、近くにいた生徒たちが彼に気付かれないよう嘲笑していて、ケインがイジメを受けていることが分かった(ああいうの、ケインは聞こえていて、気づかぬふりをしていたんじゃないかなー。全てに気づいていて、全てに気づかぬふりをすることは、どんな事情があるにせよ、孤独すぎる。実際、ケインはエヴェリンに「学校の皆に嫌われている」と言っていて、後日イジメが原因で相手に暴力を振るってしまい、学校を退学になっている。イジメられる原因は、他の裕福な生徒たちに比べて、ケインの家が貧乏などということがありそう)。
ユライヤのジェスチャーが毎回ど派手だった。
最後のシーンで、ユライヤがジェスチャーのみでレッド夫妻とやり取りするところがあるけれど、ジェスチャーど派手はそのための布石なのか、失敗しているだけなのか、よく分からない(けれど悪霊に命令する台詞回しは分かり易かった)。
ホラー性はあまり感じられないが、エヴェリンが「どこでもドア」のことを図書館で調べる過程で、20年以上前まで、年に2人くらい子供が行方不明になっていたという情報を掴んだ時は、「IT」のペニーワイズを連想させた。
スリルやホラー性を求めて視聴すると、見応えを感じないかもしれない(ホワッとしていて、緊迫感はない)。
悪霊を呼び出すシーンは、コックリさんと同じ要領。
ケインが攫われた時のエヴェリンの茫然自失と横たわる姿がリアルであった。
ユライヤがレッド夫妻や悪霊と会話するときのエヴェリンの雰囲気が良かった(「ケインを助けるためならどんな取引にも応じる」と言っている時の涙を滲ませた表情や、ユライヤが「お前は悪い霊か?」という内容の台詞を言って、悪霊が応答してきた時の驚きのリアクション)。
ラストシーンで、レッド夫妻が悪霊の親分と取引して、ケインを取り戻した(親分が夫妻の足元を見て、中々取引に応じないところは、少しでも多くの利益を得ようとするタイプの人間と同じで醜かった、さすが親分)ーレッドが最後に、ケインを攫った「どこでもドア」を、ケインがイジメを受けて退学になった学校に設置する。
それはあたかも、「大きなものを手に入れたければ、大きな犠牲を払え」と言っているかのようであった。
ユライヤの「この取引を忘れるためにやるべきことをやって下さい」や、「もうお会いすることはありません」といった台詞も頷ける。