あらすじ
グランドマスターと名乗る連続殺人犯への捜査で多忙であったマサーズ。
グランドマスターからの被害者が出たことにより、闘病中だったケイティの臨終に間に合わなかった。
それから1年が経過した今も、マサーズは自責の念に苛まれ、ケイティの幻覚と幻聴により精神に支障をきたす日々を送っていた。
ある日、グランドマスターが再び動き出し、人質を1人1人殺害していくことを予告する。
そして人質の中にはリサの姿もあった。
登場人物
・マサーズ(刑事)
・ケイティ(マサーズの娘、1年前に死去)
・リサ(マサーズの娘、ケイティの妹)
・グランドマスター(殺人者)
感想
デス・チェス、ボードゲーム好きな人間にはたまらんタイトルぜよ!
でぇす・ちぇーす➡ドス・チョス➡どろの・ちょーす➡ティラノ・サールス➡ティラノサウルスみたいなノリで観たのだが、もしかすると視聴を控えた方が良いかもしれない作品(残虐行為の描写が多く、結構ドン引きする・・・)。
冒頭で「マサーズ対グランドマスター」と書かれた新聞記事を見て、マスコミにかなり煽られているマサーズの状況が伝わってきた。
刑事は事件が起こると家庭を犠牲にしないといけないから大変だな。
チェスを絡めているせいか、怖いだけの作品ではないように感じたが、何を伝えたいかはイマイチよく分からなかった。
はっきり伝わったことは、何度か出てきた「行動しなきゃ」という内容の台詞から「つらい状況から抜け出す(乗り越える)ためには同じ失敗をしてはいけない」ということと、「世の中には淋しく生きている人々がいることを知ってほしい」というようなことだった。
前者の理由としては、マサーズはケイティが亡くなったのは、自分があまり彼女の側にいてあげられなかったからだと思っている節がある(そのため、病気で死去したにも拘らず、自責の念に苛まれている)。
または最後を看取ることができず、寂しい思いをさせて逝かせてしまったことへの後悔か。
あるいはその両方か。
そしてラストシーンでは、リサが重傷を負って病院に運び込まれたとき、マサーズも何とか病院へ辿り着き、リサを側で見守っていたから(彼女はあの後、恐らく助かったはず)。
後者の理由としては、グランドマスターの人質となった人々が一般社会から隔離したような淋しい生活を送っていたから(例えば、売春婦。自分からの望みは何もなく、客に何をされても、されるがままみたいな感じだったらしい)。
地下牢のような場所に閉じ込められるのだが、同じような境遇の人が集まっているためか、いつ殺されるか分からないにも拘らず、友情を育むような楽しそうに過ごす一面も垣間見えた。
物語にチェスは絡んでくるが、(一応駒は動くが)ルールや定石を知らなくとも大きな問題はない、多分ーチェスボードを街に見立てて殺害されるだけ(全てネット上でのやり取りで、マサーズを脅して人質の名前入りの駒を動かすよう強制し、動かされた駒の人物が殺害される)。
「2人目が殺害された場所が、1人目のすぐ隣の通り」といった内容の台詞を警察から聞いたマサーズがー動かした駒もマス目が隣同士になっていたためー殺害場所(街の地図)と、チェスボードの駒を動かしたマス目を重ね合わせて、殺害場所に関するルールを見破った。
グランドマスターの人間っぽい部分が感じられなかったが、最後の方のシーンでマサーズに「人質が死ぬまで残り5分だ」といった内容の台詞(マサーズとグランドマスターとの間に取り交わされているルールがある)を聞いて、ようやく人間臭さのようなものが感じられた。
一方的で自分勝手に滅茶苦茶やっているようでいて、グランドマスターにも彼なりのルールを真面目に守って生きている部分のあることが分かったから。
そのため、マサーズもその台詞を聞いた直後から「虐待を受けた仕返しか?」などとプロファイリング結果を言って、グランドマスターに揺さぶりをかけている。
別居中のリサが、マサーズの自宅に来て部屋に入ってあたりを見回した時に、あまりの光景に驚いていたリアクションが自然で良かった。
学生のリサが同級生にイジメを受けていて、その原因が分からなかったが、話が進むにつれて、マサーズが1年前にグランドマスターと対決していた際、ケイティが病死した後に家庭が崩壊して妻と別れ、精神も病んでしまい、グランドマスターとの対決から逃げ出してしまったことが関わっているように思った(なぜそう思えたかは忘れたけれど)。
その場にいた教師も、リサをイジメていた生徒たちをしっかり止めていなかった。
・・・ブログで発信するには向かない、中々小難しい作品。
デス・チェスはティラノサウルスにはなれなかった。