あらすじ
キャスリーンの死は富豪のハロラン家に暗い影を落としていた。
彼女の死から7年経った現在、ジョンと結婚したルイーズがハロラン家の遺産を手に入れようとするあまり、触れてはいけない闇に肉薄してしまう。
登場人物
・ルイーズ(ジョンの妻)
・ジョン(ハロラン夫人の次男、ルイーズの夫)
・ケイン(リチャードの婚約者)
・リチャード(ハロラン夫人の長男)
・ビリー(ハロラン夫人の三男)
・ハロラン夫人(ハロラン城の主)
・キャスリーン(ハロラン夫人の娘、7年前に幼くして死去した。ハロラン夫人は彼女を「プレゼント」と評し、詩まで作る溺愛ぶりだった)
・サイモン(密猟ばかりしている男)
感想
ジョンが発作で倒れたときの「早く漕げよ、ルイーズ。僕が死ねば全てなくなる」の言い方が、ルイーズはハロラン夫人の遺産目当てで結婚したことを見越した言い方で滑稽だった。
ハロラン城を語るときのルイーズの台詞回しが、ロマンを語るようで夢心地だった(遺産を受け継ぐための第一歩を踏み出せたからのように思える)。
キャスリーンの追悼式を家族だけでやると話をしていたハロラン夫人に対し、高い集中力で嫌悪感を抱いていたリチャードの演技が良かった(ケインはまだ家族ではない)。
ビリーが終始神経質そうな顔立ちで、トラウマを抱えたキャラクターにぴったりだった。
キャスリーンの葬式当日のことをあれほど克明に記憶していたのは、自分がキャスリーンを殺した衝撃から。
ルイーズが最初から殺害されるまで、一貫してハロラン夫人の遺産をどう横取りしてやろうか(遺産は寄付すると言われていたため)考えた行動をとっていた。
ハロラン夫人が追悼式で倒れたとき、部屋でルイーズが夫人を介抱するのだが、夫人に目隠ししたとき、ルイーズの目に夫人を唆そうという強い欲が表れていたのが素晴らしかった(唆すことができたのは、夫人が精神を病んで周りが見えなくなっており、自分の考えに寄り添う人を信じやすくなっていたから成立している)。
ルイーズがキャスリーンの部屋に忍び込んだとき、玩具が勝手に動き出してルイーズに迫って来る出来事が、彼女に危険が迫っていることを暗示していた(彼女も驚いていたが、一瞬で次の行動に移っていたのがスムーズで良かった。また、別の玩具の猿が斧を振り下ろすのは、ルイーズの死に様を示しており、音が鳴っていたため彼女も一層驚いていた)。
ルイーズがリチャードに「おやすみ」と言われたとき、リチャードの前をゆっくり通り過ぎて「おやすみ」と返したシーンは、リチャードに対する警戒と嫌悪感が出ていた(前のシーンで、リチャードから「その顕微鏡のような目で私を見るな」といった内容の台詞を言われていた)。
ビリーがルイーズの動きを察知できたのは、彼女の強欲さを見抜いていて警戒していたから―ルイーズはフットワークが軽く、願望を満たすための行動に移すのも早い。
ケインに対するリチャードの「~それまで座って一緒に待つかは君次第だ」の言い方が、自分から離れていかないか不安に思いながらも、ケインに判断を委ねる話し方で、婚約者を尊重する意思が伝わってきた。
結婚しても上手くいきそう。
ハロラン城の池の水を抜かせたのは、キャスリーンの愛用していた数体の人形が水面に浮かんできたから。
ビリーはキャスリーンの姿に似せた人形を大切に隠していて、サイモンに発見されたために置き場所を移動した。
人形を発見したサイモンは殺害したが、ハロラン夫人は母親なため、脅すだけで殺さないでおいた。
人形を母親に発見されたため、ビリーはまた人形を移動させなくてはならない。
ビリーが神経質なのは、寝室に行くために通る廊下も影響しており、悪夢のことを席を立ってケインに背を向けつつ語り始めるシーンは、彼女がこんな話を聞いてくれるかという不安が身体的な移動に表れているかのようであった。
フランシス・フォード・コッポラ監督が20代の時に作り上げた映画。
最初からサラッと本編に入っていくため、アメリカらしい映画でリアリティはあるが、歴史的文化が異なるのでピンとこない。
70分程の短い映画なので、2回観るとよく分かると思う。
モノクロ映画で、ちょっと見にくい箇所がある。