あらすじ

姉夫婦とその甥を殺害されたジュリアが、事件の真相を探るべく、グレイディとともに捜査を開始する。

登場人物

・ジュリア(不動産専門の新聞記者)

・グレイディ(刑事、ジュリアの元彼)

・クローン(ジュリアが訪れることになる、ニューイングリッシュの長)

感想

どのシーンもリアルに感じる重厚さで、魅入ってしまったが、最後のシーンだけは分かったような分からんような、微妙に謎だった。

人間の魂が出現した時の臨場感はリアルなゲームをしているよう。

ジュリアが姉家族を殺害した精神異常者に刑務所で動機などの話を聞くときに、涙を流したり、時折錯乱したりしながら会話するところが、細かいけれど非常にリアルであった。

ジュリアが事件究明のために訪れたニューイングリッシュで出会った老婆が、自分がジュリアの母親であると気づいていながら黙っていて、それは娘のジュリアを守る何かしらの理由があると思っていたが違った(見ていてジュリアに対して愛情のようなものではなく、微妙に気違いのような雰囲気を漂わせていたのはこのためだった)。

ラストシーンで、ジュリアを射殺して「娘の命を捧げます」という台詞は他の村人と違い、自分だけが子供の命を捧げていない負い目を感じながらずっと生きてきたから(ジュリアの父親がジュリア姉妹を逃がした)。

クローンは2度心肺停止から生還しており「魂を部屋に閉じ込める」という特別な力を身につけていた。

率直に言うと、その能力は魅力的で、そういった特殊能力があれば、通常とは異なる発想を練り、実行に移すと思う(クローンの場合、自分に恨みを持つ者から家族を殺されたことから「魂の部屋」を創り出して、「あの世」と「この世」の境を無くすことが目的だったよう)。

ニューイングリッシュの村人が小学校を焼き払い、各々の子供の命をクローンに捧げた。

また、他にもたくさんの生贄を捧げてきたことがクローンの支配力を確かなものとし、村人たちの結束を強めているところは、普通の社会で生活していても分かる気がする。

例えば、後ろめたいことをやった連中は、その秘密を共有することで、お互いを監視し合い、秘密が大きいほど、結果的に高い結束力を持つようになる。

アメリカでは20世紀後半も、一部では、まだまだオカルト的なことが信じられていて、そのうちの一握りは現実に不幸を引き起こしていたことを思い出した。

ニューイングリッシュの太っちょ保安官が、特殊能力をもっていないにも拘らず、めちゃくちゃ強くて、グレイディをボコにしていたのがやばかった(グレイディの方が強そうなのに)。

ニューイングリッシュの村人たちが最初から排他的であったことも、やましいことがあるからという解釈で、それは現代社会にも通じると思った(例えばブラックな人は独特な閉塞感や身勝手さがある・・・関わるとヤバい)。

とにかく骨太で、最後まで集中して観ることができる作品。

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